ボディクリームで肌にかゆみ
先日、こんな問い合わせをいただきました。
「このボディクリームを使用しているのですが、少し痒みが出るような感じがします。理由はなんでしょうか?」
使用されているというボディクリームの全成分はこちら。
水、グリセリン、エチルヘキサン酸セチル、マカデミア種子油、1,2-ヘキサンジオール、ジステアリン酸ポリグリセリル-3、メチルグルコース、ステアリン酸グリセリル(SE)、エチルヘキシルグリセリン、加水分解ヒアルロン酸、BG、カプリリルグリコール、カルボマー、トロメタミン、ダマスクバラカルス培養エキス、ヒアルロン酸Na、香料
*精油主成分:シトロネロール、シトラール、ゲラニオール
合成油やマカデミア種子油によるエモリエント効果が期待できそうな成分が並んでいます。多くの人には安全な処方ではあります。
では、質問をくれた方はどうしてかゆみを感じてしまったのでしょうか?
ボディクリームの香りが原因
この方が使ったボディクリームには香料が配合されています。そして、全成分のところにはこんな記載も。
*精油主成分:シトロネロール、シトラール、ゲラニオール
これらは香りのもとになる物質。特定の種類の合成香料と精油に含まれます。
どれもアレルギー性は高めで、EUでは表示規制があります。スキンケア製品に0.001%以上のこれらの物質が含まれる場合は、そのことがわかるようにパッケージへの記載義務があるのです。
香料の成分にアレルギーを持つ人が、化粧品を買う時に見分けられるよう配慮されているんですね。
いい香りだからと選びがちなボディクリーム。でもその香りのもとが、肌の赤みやかゆみの原因かもしれません。それぞれのリスクについて少し詳しくみてみましょう。
精油に関する他の記事:化粧品の精油がアレルギーの原因に
シトロネロール
シトロネロールはバラのような香りのもとになる物質です。ゼラニウム油やローズ油といった精油にも含まれています。
化粧品成分の安全性を評価しているアメリカのEWGではシトロネロールの安全性は10段階中3〜4(1が一番安全)。高濃度の場合はよりアレルギーのリスクが高くなります。
また、シトロネロールにはホルムアルデヒトが残留している可能性も指摘されています。
ホルムアルデヒドは目や鼻の粘膜を刺激する化学物質。「シックハウス症候群」の原因物質としても知られています。
アレルギーの原因になるだけでなく、国際がん研究機関では発がん性物質とされています。
当然、EWGのホルムアルデヒドのリスク評価は最悪で、10段階中10。非常にリスクが高い物質なんです。いい香りがする物質にこんな毒性物質が含まれているなんて、ちょっとショックですね。
ホルムアルデヒド残留リスクがある他の成分:DMDMヒダントイン
シトラール
シトラールの特徴はレモンのような爽やかな柑橘っぽい香り。レモングラスの精油に多く含まれています。
こちらもEWGの安全基準では3〜4の評価。アレルギーリスクだけでなく肌刺激も強いとされていますので、敏感肌の人は避けるのがよさそうです。
そしてシトロネロール同様、シトラールにもホルムアルデヒドの含まれる可能性があります。
ちなみに、シトラールには天然の精油から抽出されたものと合成されたもの、2種類があります。
ホルムアルデヒド残留のリスクがあるのは、合成されたシトラールの場合。イソブチレンという化学物質にホルムアルデヒドを添加して作られるからです。製造時に使われたホルムアルデヒドが化粧品にわずかに残っている可能性があるというわけです。
ゲラニオール
ゲラニオールはパルマローザ油やゼラニウム油などに含まれる物質。甘いバラのような香りがあります。こちらはEWGでは3の評価。アレルギーのリスクが高いとされています。
ボディクリームを塗って肌がムズムズしたら
上記のように、いい香りを作っている成分や物質に肌刺激やアレルギーのリスクがあることは決して珍しくありません。そして、そうした成分が肌の赤みやかゆみ、ムズムズ感の原因になっている可能性があるのです。
特にボディクリームは塗布範囲が広いので、その影響を受けやすくなります。
ボディクリームを塗って肌に違和感を感じたら、香料や精油が配合されていないかをまず確認してみてください。
もちろん、こういった成分が入っているのはボディクリームだけではありません。顔に使うスキンケア製品、ボディソープ、石鹸、シャンプーなどに入っていることもあります。
敏感肌の人、アトピー肌の人、赤ちゃんや小さな子供などには、香料や精油が入っている化粧品の使用は、特に注意することをおすすめします。
赤ちゃんのスキンケアについて:安全なベビー用スキンケアの選び方
香りの成分は全成分に記載がない
なお、肌に違和感を感じて全成分を見ても、上記の「シトロネロール」「シトラール」「ゲラニオール」が記載されていないこともあります。
なぜなら、日本ではこれらの成分の表示義務がないから。
「香料」と一括りにして書いておけばOKなので、「香料」に何が使われているかがわからないのです。
香料として精油が使われている場合は、精油の名前は記載されているでしょう。しかし、その精油に含まれるこれらの物質名が書かれていることはほとんどありません。
ただし、最初のほうに書いたように、ヨーロッパではこういった香り成分の記載義務があります。そのため、
- ヨーロッパで製造された化粧品
- ヨーロッパでも販売されている化粧品
にはちゃんと書かれていることが多いです。
逆に言えば、日本で作られて日本でしか販売されていない化粧品には、記載されていないことがほとんど。消費者が見分けるのは難しいのが現状です。
早く日本でもヨーロッパのように記載が義務づけられるとといいですね。
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化粧品成分のリスクをとことん研究した「CONCIO(コンシオ)」
CONCIOは日本で初めてEWG認証を取得した新基準の無添加スキンケア。
化粧品成分による肌刺激やアレルギーのリスクに着目し、2500の成分を使わない独自の安全基準を徹底。
世界基準の安心を日本の敏感肌に届けています。
*すべての方に肌刺激やアレルギーが起こらないわけではありません。