シャンプーに入っているコカミドプロピルベタインについて知っておくべきこと

シャンプーに入っているコカミドプロピルベタインについて知っておくべきこと

コカミドプロピルベタインは界面活性剤

コカミドプロピルベタインはシャンプーやボディーソープなど、洗うことを目的とした化粧品によく使われる成分。ヤシ油が由来の界面活性剤なので、オーガニックや自然由来をアピールする多くのシャンプーで特によく見かけます。

界面活性剤は本来混ざらない水と油を混ぜ合わせるもの。
シャンプーに配合すると、皮脂や汚れを浮かせて落とすことができるんですね。

肌刺激のリスクは低く、ほとんどの人にとって安全とされるコカミドプロピルベタイン。

ただ、場合によっては注意が必要なこともあります。

この記事ではコカミドプロピルベタインの安全性や環境への影響について詳しく見ていきます。

ヤシ油が由来のコカミドプロピルベタイン

コカミドプロピルベタインは主に二つの物質で作られます。

一つはヤシ油に含まれる脂肪酸。そしてもう一つはプロピレングリコールという合成の化合物です。プロピレングリコールは化粧品で「PG」と記載される成分ですね。

コカミドプロピルベタインは油を浮かせて水と一緒に流します

これらの物質から合成されるコカミドプロピルベタインは、油を浮き上がらせるのが主な働き。浮かせた油を水と一緒に洗い流してくれるのです。また、豊かな泡を作ることもできます。

同じような役割をする成分に、ラウリル硫酸Naというのもあります。
ですが、ラウリル硫酸Naは刺激が強いことで有名。湿疹や乾燥の原因になる可能性も高いとされています。

そのため、よりマイルドな選択肢としてコカミドプロピルベタインが使われるケースがどんどん増えてきたというわけです。

関連記事:ラウリル硫酸ナトリウムが乾燥肌を招く理由

コカミドプロピルベタインの役割

コカミドプロピルベタインには特徴的な役割があります。これらを見れば、シャンプーに多用される理由がよくわかります。

油を浮かせて落とす

界面活性剤として水と油をなじませます。そのため、水と一緒に頭皮の油分を洗い流すことができます。

泡立ちをよくする

水に触れるとよく泡立つため、シャンプーやボディーソープで使われています。

濃厚な使用感にする

液体に粘性を与える増粘剤としての役割もあります。ヘアコンディショナーなどの液だれを改善します。

コカミドプロピルベタインは安全?

米国には、化粧品の安全性を専門家が検証するEWGという団体があります。そこでは、コカミドプロピルベタインの発がん性などの毒性は指摘されていません

しかし、肌に長時間残った場合には炎症を引き起こす可能性が指摘されています。特に、アトピー性皮膚炎などで弱った肌では刺激や炎症の原因となる可能性があるのだそう。

また、シャンプーなどのヘアケア製品を毎日長時間扱う美容師も要注意。10%以上の美容師がコカミドプロピルベタインにアレルギー陽性反応を示したとする報告書もあります。

コカミドプロピルベタインはアトピー肌には刺激になる可能性があります

合わない時に出るのはこんな症状

一般的に多くの人が安心して使えるというコカミドプロピルベタイン。ですが、人によっては刺激やアレルギーの反応が出る可能性があるんですね。よくあるのは下記のような症状です。

  • 肌の不快感・違和感
  • つっぱり感
  • かゆみ・赤み
  • 炎症
  • 発疹

ほとんどの場合、こういった症状は製品の使用をやめれば自然に治ります。
ですが、中にはなかなか治らないケースや悪化したことも。そんな時には、皮膚科医の診断を受けましょう。

コカミドプロピルベタインによるアレルギーの原因

当初、コカミドプロピルベタインはそれ自体がアレルゲンであるとされていました。2004年にはアメリカの接触皮膚炎学会による 「アレルゲン・オブ・ザ・イヤー(今年のアレルゲン大賞) 」に選ばれたほどです。

ただその後、2012年の研究調査によりアレルギーの本当の原因が判明。アレルギー反応を引き起こすのはコカミドプロピルベタインそのものではなく、製造過程で生成される2つの不純物であることがわかったのです。

その2つの不純物とは、アミノアミド(AA)と3-ジメチルアミノプロピルアミン(DMAPA)。

これらの不純物を含まないコカミドプロピルベタインでは、ほとんどの人にアレルギー反応が出なかったことが複数の調査で明らかになっています。

ちなみに、高純度に精製されたコカミドプロピルベタインにはAAとDMAPAは含まれないのだそう。ですが現状は、ほとんどのコカミドプロピルベタインにこれらの不純物が含まれているそうです。

敏感肌の人やアトピー肌の人は、念のため、コカミドプロピルベタイン配合のシャンプーを避けるのが安心かもしれませんね。

関連記事:PEG-60水添ヒマシ油の安全性:使用時の注意点と不純物リスク

環境への影響

EWGでは、コカミドプロピルベタインが水生生物に有毒である可能性を示しています。しかし、2013年に公表された水生生物に対する別のリスク評価では安全だったとされています。

つまり現在は、まだ事実がはっきりしていないということ。
環境に対しては有害?どの程度有害なの?ということが明確になるまで、まだ少し時間がかかりそうです。

コカミロプロピルベタインは「ナチュラル」?

冒頭で書いた通り、コカミドプロピルベタインにはココナッツ由来の脂肪酸が含まれています。そのため、この成分を配合したシャンプーには「天然由来」「ナチュラル」などといった言葉が記載されていることがほとんど。

コカミドプロピルベタインはヤシ油の脂肪酸を使って作られる自然由来成分とされています

ですが、コカミドプロピルベタインは100%自然物質の成分ではありません。PGという合成化合物が成分中に含まれていますからね。

100%天然じゃないとダメ!というわけでは決してありません。
でも「天然由来と書いていればOK!」ということでもないのです。

キャッチコピーに惑わされず、自分の価値観に合う化粧品を正しく選ぶことが大切ということですね。

関連記事:ほとんどの「ナチュラルコスメ」にアレルギー成分が入っている事実

LINEでしか言えない情報も配信中

CONCIO AcademyのLINEアカウントでは、より安心な化粧品を選ぶために役立つ情報を発信しています。
登録はこちらから→https://lin.ee/jAkRPAs

化粧品成分のリスクをとことん研究した「CONCIO(コンシオ)」

CONCIOは日本で初めてEWG認証を取得した新基準の無添加スキンケア。

化粧品成分による肌刺激やアレルギーのリスクに着目し、2500の成分を使わない独自の安全基準を徹底。生分解性に乏しい合成ポリマーやシリコーンオイルも一切使用しません。

https://concio.jp/

CONCIOのミニマルスキンケア

*すべての方に肌刺激やアレルギーが起こらないわけではありません。

ブログに戻る
RuffRuff App RuffRuff App by Tsun
  • 肌の常在菌を守って健やかな肌へ:菌バランスを乱す化粧品成分

    肌の常在菌を守って健やかな肌へ:菌バランスを乱す化粧品成分

    肌には無数の細菌や微生物が存在していて、その常在菌のいいバランスを保つことが美肌のカギ。ですが、石油系界面活性剤や合成防腐剤など、肌の常在菌バランスを乱す化粧品成分もあります。

    肌の常在菌を守って健やかな肌へ:菌バランスを乱す化粧品成分

    肌には無数の細菌や微生物が存在していて、その常在菌のいいバランスを保つことが美肌のカギ。ですが、石油系界面活性剤や合成防腐剤など、肌の常在菌バランスを乱す化粧品成分もあります。

  • 乾癬の人がスキンケアで気をつけたいこと

    乾癬の人がスキンケアで気をつけたいこと

    非常に強いかゆみをともなう乾癬は皮膚の炎症を引き起こす自己免疫疾患。世界の人口の2~3%が罹患しているとされています。 症状の緩和には、皮膚科で処方された薬に加えて正しい保湿と刺激が強い成分を避けることが大切。

    乾癬の人がスキンケアで気をつけたいこと

    非常に強いかゆみをともなう乾癬は皮膚の炎症を引き起こす自己免疫疾患。世界の人口の2~3%が罹患しているとされています。 症状の緩和には、皮膚科で処方された薬に加えて正しい保湿と刺激が強い成分を避けることが大切。

  • 化粧品アレルギー、「私は大丈夫」と思ってませんか?

    化粧品アレルギー、「私は大丈夫」と思ってませんか?

    10%から15%の人が化粧品によるアレルギーを経験したことがあるという調査もあるほど、化粧品アレルギーが増加しています。香料、精油、防腐剤、界面活性剤、天然由来成分。人によってアレルギーの原因となる成分もバラバラ…

    化粧品アレルギー、「私は大丈夫」と思ってませんか?

    10%から15%の人が化粧品によるアレルギーを経験したことがあるという調査もあるほど、化粧品アレルギーが増加しています。香料、精油、防腐剤、界面活性剤、天然由来成分。人によってアレルギーの原因となる成分もバラバラ…

1 3