鉱物油は天然石?
「鉱物油」を使わないことをアピールする化粧品がたくさんあります。でも、鉱物油が何かを知っている人は意外と少ないかもしれません。
ダイヤモンドなどの天然石も鉱物と言われます。また、「鉱物」を英語に訳すと「ミネラル」。そのため「天然石から採れるの?」とか「ミネラルたっぷりな油?」と思っている人も。
この記事では化粧品に使われる鉱物とは何か。そしてそのメリットとデメリットについて詳しくお伝えします。
鉱物油とは
鉱物油は原油を蒸留して工業用の油などにする過程で発生します。最初に書いた通り「鉱物」は英語で「ミネラル」。ですから「ミネラルオイル」と呼ばれることもあります。
でも、栄養素のミネラル(「ビタミン&ミネラル」と言われるようなもの)とは無関係。また、ダイヤモンドなどの鉱石から採れるものでもないんですね。
形状は、柔らかいワックスのような固体から透明の液体オイルまでさまざま。粘性が異なるそれぞれの特性をいかして、次のような様々なものに使われています。
- 化粧品
- 医薬品
- キャンドル
- 木材
- 紙(包装紙など)
- 食品
- クレヨン など
化粧品に使われる理由
鉱物油は油性成分になじみやすい特性があります。肌表面の皮脂にもしっかりなじむため、クリームやローションなどの保湿剤に使われます。皮膚の上で変質しにくく、クリームなどの安定性を維持してくれるのです。
また、メイクアップ製品の油分にもなじみやすいことから、クレンジングオイルの主成分として配合されていることもあります。
一方で、水には溶けず、水をはじきます。皮膚の上に膜を作って光沢を与えるので、口紅などに配合されることもよくあります。
鉱物油は肌によくない?
化粧品成分としては優秀そうなのに、「鉱物油フリー(鉱物油を配合しない)」の化粧品が増えているのはなぜでしょうか?
肌によくないというイメージを持っている人も多いですが、そこには理由にはいくつかありそう。ここからは、その理由と真相を検証してみましょう。
「肌荒れの原因になる」は本当か
鉱物油は皮膚表面に膜を作ると言われることがあります。密閉するため浸透性がなく「肌が呼吸できなくなる」という意見です。
しかし、実際は肌が呼吸することはありません。ですから、この意見は理にかなっていませんね。鉱物油が作る肌表面の膜は、水分が逃げることを防ぐことが目的。肌に水分をとじこめておくのです。
また、毛穴を詰まらせたり、肌荒れの原因になることもほとんどありません。あるとすれば、鉱物油を塗る前の肌に不要なものが付いていた時。肌に刺激になる物質の上から鉱物油を塗ると、その膜のおかげで刺激物質が肌に密着し続けます。それが原因で肌荒れをする可能性はあります。
「肌が乾燥する」のはこんな場合
油分になじみやすい鉱物油は、皮脂にもなじみます。保湿剤として使われるときは、その性質により保護力が高くなり乾燥を感じにくくなります。
しかし、クレンジングオイルや洗顔料に入っている場合は少し注意が必要。一緒に配合された界面活性剤が、鉱物油としっかりなじんだ皮脂をごっそり落としてしまうことがあるからです。
「クレンジングオイルは乾燥肌の原因になりやすい」と言われる理由はこれ。肌のうるおいに必要な油分を落としすぎてしまうんですね。
つまり、正しくは「ミネラルオイルが主成分のクレンジングオイル」が、洗い上がりに乾燥しやすいことが多いのです。
「発がん性がある」は昔話?
化粧品の製造技術が発達する前は、鉱物油に不純物が混入している可能性がありました。過去には、PAH(多環芳香族炭化水素)という発がん性物質が混入していたケースも。しかし、それはもはや昔の話。
現代の化粧品に関わる技術は大幅に向上しました。
鉱物油の精製度は医薬品レベルに高純度とも言われます。特にEUや日本で使われるものは精製度も安全性も高く、評価されているとか。リップ製品に使用された場合、口から摂取しても安全だとされるほどです。
*ただしアメリカではPAHの残留値に規制がありません。アメリカ製造の化粧品の場合は少し注意が必要かも。
「肌バリアの邪魔をする」は嘘?
先述の通り、鉱物油は肌の上に膜を作ります。そのため、肌本来のバリア機能を邪魔するのではないかと思う人もいるようです。
しかし、鉱物油は角質層に浸透することはありません。あくまで肌の上にとどまって、傷つきやすい肌を保護する役割を担います。
ひどい乾燥肌。
やけどなどで肌バリアが低下している。
そんな時には、肌バリアの代わって肌を守ってくれます。安全性・安定性・保護力が高いので、火傷や創傷の患者にワセリン(鉱物油の一種)が処方されるのですね。
ただ、健康な肌でバリア機能がしっかり働いている肌に塗るのは、あまり意味はないかも。あくまで肌バリアの機能をサポートする成分として覚えておきましょう。
鉱物油の種類
鉱物油には形状が違う種類があります。化粧品に使われる主な鉱物油は、下記のとおり。
- パラフィンオイル
- ワセリン
- 流動パラフィン
- ミネラルオイル
- マイクロクリスタリンワックス
いずれも石油由来のためイメージが悪く、化粧品成分としては嫌われる傾向があります。
しかし、ここまで書いてきた通り、肌バリアが弱った時にはリスクが低くて頼りになる成分。肌の状態などによって、保湿剤を使い分けてみてもいいかもしれませんね。
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