グリセリンを避ける人に知ってほしい真実

グリセリンを避ける人に知ってほしい真実

グリセリンは肌に悪い?

化粧品に最もよく配合されているのは水。その次に多いのが香料とグリセリンと言われています。

保湿効果があるため、化粧水や乳液などの保湿用スキンケアでは超定番の成分。

使用実績も長くて安全性もお墨付き。保湿効果においては、肌表面の保水に最も効果がある成分の一つとする研究もあるほど、信頼性の高い成分です。

ところが、最近「グリセリンフリー」をアピールするスキンケア製品が増えています。世界的に安心成分として知られるグリセリンなのに、なぜなのでしょう?

この記事ではグリセリンとその効果、注意したいポイントを詳しく解説。
自分に本当に「グリセリンフリー」が必要か、正しく見極める参考にしてもらえると嬉しいです。

グリセリンってなに?

そもそもグリセリンとはどんな成分なのでしょうか。

グリセリンは植物油や動物性脂肪から得られる天然の化合物。「グリセロール」とも呼ばれます。
無色透明でニオイもないシロップ状の液体で、少し甘い味がするのが特徴です。

化粧品で使われるグリセリンは天然の化合物で無色透明の液体

化粧品では保湿剤として使われます。肌の深部や空気中から水分を引き込み、肌表面のうるおいを強化します。
2016年の研究ではPG、BGやヒアルロン酸とともに、肌表面の水分量を高める保湿剤として最も効果がある成分の一つとされています。

参考記事
PG(プロピレングリコール)がスキンケア製品に使われる理由
BGが多くの化粧品に入っている理由と安全性

グリセリンは肌にいい

多くのスキンケア製品にグリセリンが配合されているのは、安全で多くの効果が認められているから。2008年の研究では、下記のような効果があることが示されています。

  • 角質層に潤いを与える
  • 皮膚のバリア機能を高める
  • 刺激からの保護
  • 傷の治癒を促進する
  • 乾燥肌の緩和
  • 乾癬やアトピーなど皮膚バリア機能低下による皮膚疾患の緩和

また、2017年の研究ではグリセリン、ヒアルロン酸ツボクサエキス(CICA)を組み合わせることで、塗布後24時間にわたって肌のバリア機能を改善する可能性を示しています。

グリセリンには肌の保湿効果とバリア機能を保護する効果があります

グリセリンで刺激を感じる可能性

これまで書いたように、グリセリンにはすぐれた保湿効果やバリア機能の改善効果があります。

安全性も高いとはいえ、ごくまれにグリセリンに刺激を感じる人がいることは事実。ただ、その理由も少しわかってきています。

刺激が最も起こりやすいのは、グリセリンを原液で使用している場合。

というのは、グリセリンはそれ自身の近くから水分を引き寄せます。
空気が乾燥している場合、空気中の水分が足りず皮膚の下層部から水分を引き寄せることがあります。

使用しているグリセリンの濃度が高すぎたり、もともと肌が非常に乾燥した状態の場合、皮膚の水分が引き寄せられる時にかえって乾燥が進み、肌に刺激を感じることがあるのです。

グリセリンは50%までの濃度であれば、刺激を感じることはほとんどないとされています。
通常、50%などの高濃度でグリセリンが化粧品に配合されることはありません。そのため、注意すべきは「グリセリンの原液での使用」なのです。

手作りコスメなどで「原液で使っている」という人もいるかもしれません。

ですが、原液のグリセリンを使って水ぶくれができたケースもあるようです。そのため、高濃度ではなく、適切な濃度で配合された化粧品を使うのが安心というわけです。

アレルギーリスクは?

グリセリンは天然物なので、アレルギー反応を起こす可能性はゼロではありません。

しかし、過去30年間で接触性アレルギーを発症した事例は極めて少なく、医学的文献にもアレルギーリスクに関する記載はないそうです。

というのも、グリセリンは免疫反応を引き起こせる分子サイズではなく、アレルギー反応が生じることが生物学的にはありえないから。

つまり、赤みやかゆみ・発疹が出た場合の原因は、高濃度のグリセリン使用による肌刺激の可能性が高いというのが一般的な見解です。

まとめ

どんなに安全性が高い化粧品成分でも、使用方法を間違えれば肌トラブルの原因になります。

それはグリセリンも同じ。濃度が高ければ効果が高いわけではありません。

グリセリンは原液で使うことを避けるのが賢明。その代わり、しっかりと保湿効果を感じられて適切な処方でで配合された化粧品を選ぶのがよさそうです。

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