世界中で人気の精油
より自然でサステナブルな選択肢が好まれる時代。人工的な香料に代わって精油が世界中で人気です。
2022年の世界における市場規模は、約210億ドル(約2兆8350億円)とも言われ、2032年までに440億ドルに倍増すると予想されています
精油とは
エッセンシャルオイルとも呼ばれる精油。一般的に「天然の香りと風味を保持した濃縮植物エキス」と定義されます。さまざまな花や果実、樹木など、何千種類もの植物から抽出されます。
精油の歴史は長く、数千年前の古代インドやエジプト、ペルシャなどでも使われていたとか。その後、アラブ人が水蒸気蒸留法を用いて植物から精油を抽出する方法を発見。この技術が中世のヨーロッパに急速に広まりました。
そして19世紀後半以降、精油の生産量が大幅に増加。それ以来、香水や化粧品などの香料、食品や飲料、歯科製品や医薬品などにも広く使用されています。
精油には強力な抗菌・抗ウイルス作用、鎮静作用、抗うつ作用があると考えられています。また、免疫力やエネルギーレベルを高めたり、ストレスを軽減するとも言われます。
精油の製造方法
そんな精油が、どのように製造されるかを知っていますか?
最も一般的な方法は水蒸気蒸留法。
原料となる植物を蒸留釜に入れ、蒸気を下から蒸留釜に送り込みます。 すると香りの分子が水蒸気となって上昇。 その蒸気を凝縮させることで液体(精油)になります。水蒸気蒸留法はコスパがよいため、もっとも一般的な製造方法となっています。
その他にも溶剤を使って抽出する方法や機械圧搾、脂肪を使ってオイルを抽出する方法などもあります。
しかし、どの方法で製造するにしても、まずは花や果実、樹木を収穫する必要があります。これらの植物は農園で作られているか、野生のまま収穫されることもあります。
約450gの精油にバラ4500kgが必要
実は、ほとんどの精油はわずかな量を生産するために、膨大な量の植物と資源を必要とします。例えば、約450gの精油を生産するには、下記の量が必要です。
- バラの花びら:4,500kg
- レモン:1,500個
- ラベンダー:113kg
- レモンバームの苗:2,720kg
- ローズマリーの葉:113kg
- ユーカリの葉:22.6kg
- ジャスミンのつぼみ:400万個
種類によって必要とする資源の量は異なりますが、抽出が難しいものや収穫量が少ないと必要な資源も多くなります。また、天候による影響も。植物の収穫量が天候により増減するほか、植物から抽出できる精油の量も毎年一定ではありません。
また、植物を育てるためには大量の水が必要。その上、植物から精油を抽出する時にもまた、大量の水と電力が使われています。
原料となる植物の収穫方法
精油の原料となる植物の採取には、2種類の方法があります。
管理農園での栽培と収穫
精油を生産する大企業では、農園を管理し原料となる植物を栽培しています。その農園を整地する際には、森林を切り倒すこともあります。また、植物の生育環境を維持するため、温度や湿度をコントロールする必要も。そのために多くの電力が使用されています。
野生植物の収穫
野生で育った植物が精油の原料として使用されることもあります。農薬や肥料、余分な資源が使用されていないことから、消費者に好まれる収穫方法でもあります。
この場合、生態系を守るため、収穫を行う地域ではルールを設けていることがほとんど。たとえば、1回の収穫で野生作物の10%以上を収穫してはならないというものです。しかし、ルールを無視しても規制がないため、乱獲が横行している例もあります。
精油人気により絶滅の危機にある植物
フランキンセンスやミルラといった樹液や樹脂を原料とする精油があります。
花などと違い、季節ごとではなく通年で伐採されることが多い樹木。できるだけ多くの樹液を抽出するために過剰に伐採が行われることがあります。
サステナブルでは採取方法は木を弱らせ、やがて枯死させていきます。その結果、古くから存在してきたこのような木は徐々に数を減らしつつあります。
存在が脅かされてる植物は、この二つだけではありません。
国際自然保護連合(IUCN)は絶滅の危機にある植物をレッドリストに掲載していますが、実は多くの精油が絶滅の危機にある植物から採取されているのです。
例えば、精油として人気の下記の植物も絶滅危惧種として指定されています。
- サンダルウッド
- シダーウッド・アトラス
- ローズウッド
- アガーウッド
例えば、サンダルウッドはインドやインドネシアでは違法に乱獲され、絶滅寸前まで追い込まれていると言われています。急速な精油の需要増加が、原料となる特定の植物に負担をかけているのです。
精油人気によるその他の環境問題
ほとんどの精油には非常に燃えやすい性質があります。そのため、海外の一部の都市では、精油が入っていたガラス瓶のリサイクルを禁止するところも。精油がわずかに瓶に残っているだけでも、リサイクル業者や処理場に危険が及ぶ可能性があるため、家庭用有害廃棄物として処理する必要があるのです。
また、精油には水生生物に有毒とされている種類があることも知っておきましょう。排水されて水路や川、海に流れ込むことで海洋生態系に影響を及ぼす可能性があります。
サステナブルな精油の選び方
では、よりサステナブルな精油を選ぶにはどうすればいいのでしょうか?
最後に、その選び方を紹介します。地球環境や他の生きもの、そして人間にとってよりやさしい選択を心がけたいですね。
- 原料の植物が 国際自然保護連合のレッドリストで指定されていないかを確認する
- 原料の植物の収穫方法を確認する(メーカーに問い合わせる)
- ローズやジャスミン、レモンバームなど大量の資源を必要とする精油を避ける
- なるべく国内で生産された精油を選ぶ(CO2排出量の観点から)
- 精油の製品安全シート(MSDS)を確認する(公開しているメーカーの製品を使う)。安全シートでは水生生物や他動物に対する毒性などを確認できます。
また、精油は人間にとってアレルゲンとなる種類がたくさん。直接肌につけると感作する可能性があります。原液を扱う時には、必ず希釈して使うようにしましょう。
ためになる情報をLINEで配信中
CONCIO AcademyのLINEアカウントでは、よりよい化粧品を選ぶための豆知識を発信しています。自分と大切な人にとって本当に優しい選択をするために、ぜひお役立てください。
登録はこちらから→https://lin.ee/jAkRPAs
化粧品成分のリスクをとことん研究した「CONCIO(コンシオ)」
CONCIOは日本で初めてEWG認証を取得した新基準の無添加スキンケア。
化粧品成分による肌刺激やアレルギーのリスクに着目し、2500の成分を使わない独自の安全基準を徹底。
世界基準の安心を日本の敏感肌に届けています。
*すべての方に肌刺激やアレルギーが起こらないわけではありません。