化粧品のビタミンE
多くの化粧品にトコフェロールという成分が配合されています。特によく見かけるのはクリームやオイルがベースのスキンケア。
あなたが使っているスキンケアにも入っているかもしれません。
この記事ではトコフェロールの由来や効果を詳しく解説。また、世界的機関がその安全性をどう評価しているかも調べました。
トコフェロールは何から作られる?
トコフェロールはビタミンEの一種です。化粧品では、主に植物の油脂から抽出されたものが使われることが一般的です。
具体的には、以下のような植物油脂から作られることが多いようです。
ただ、トコフェロールには合成由来もあります。
一般の化粧品では両方とも「トコフェロール」と記載されるので見分けられません。ですが、医薬部外品(薬用化粧品)では、下記のようにそれぞれ別の名称で記載されています。
- 天然由来:d-α-トコフェロール
- 合成由来:dl-α-トコフェロール
どちらも化粧品に使用されますが、最近は天然由来のほうが効果も人気も高いようです。
(注意)
酢酸トコフェロールという化粧品成分もあります。トコフェロールの仲間ですが、安全性や配合濃度では少し異なる成分です。
参考記事:実はナチュラルじゃない!化粧品の天然由来成分
トコフェロールのスキンケアにおける役割
トコフェロールが多くの化粧品に使われる理由。それは下記のような肌への効果が期待されているからです。
抗酸化作用でエイジングにアプローチ
トコフェロールの最大の特徴は、強力な抗酸化作用です。
肌の老化を加速される要因としてフリーラジカル(活性酸素)が知られるようになってきました。
紫外線や空気中の汚染物質によって肌がダメージを受けると、フリーラジカルが発生します。そして、それがシワやシミの原因となることがわかってきたのです。
そんな時に活躍するのがトコフェロール。抗酸化作用を発揮するトコフェロールがフリーラジカルの働きを抑え、肌を酸化から守ってくれるのです。
保湿効果でしっとり肌に
トコフェロールは保湿効果にも優れています。肌のバリア機能を強化し、水分を保持するのを助けてくれます。
乾燥肌や季節の変わり目に肌が荒れやすい人にとって頼りになる成分なんですね。
化粧品の酸化を防ぐ
トコフェロールには酸化防止剤という役割もあります。
化粧品には様々な油が使われますが、油の種類によっては酸化(劣化)しやすいものも。
酸化した化粧品を肌に塗るのは肌にもよくありません。そのため、トコフェロールを配合してオイル成分の酸化・劣化を防ぐのです。
トコフェロールの安全性
トコフェロールが多くのスキンケア製品で重宝されていることはわかりました。
でも、安全な成分なのでしょうか?
ここからは、化粧品成分の安全性を評価する世界的機関のCIRとEWGによる安全性の見解を見てみましょう。
CIRによる見解
CIRの報告書によれば、トコフェロールは一般的な濃度で使用される限り安全であるとされています。
一般的な濃度とは5.4%以下。スキンケアにおいてこの濃度以下であれば、肌への刺激やアレルギーのリスクは低いとされています。
ただし、高濃度で使用した場合は別。軽度の刺激を引き起こす可能性があるとの記載も。ただ、珍しいケースとして報告されています。
EWGによる見解
EWGのデータベースでもトコフェロールは低リスクの成分として評価されています。
安全性スコアは10段階評価中1〜2(10が一番リスクが高い)となっており、毒性や発がん性、生殖毒性のリスクも低くなっています。
まとめ
ビタミンEであるトコフェロールは、スキンケアへの効果も安全面においても嬉しい成分であることがわかりました。抗酸化作用で肌を守りながら保湿効果も発揮するとわかれば、ぜひスキンケアに取り入れたい!と思いますね。
CIRやEWGの見解からも安全面での心配も少なそう。とはいえ、一つだけ注意しておきたいことを最後に書いておきます。
CIRの報告書では、安全とされるトコフェロールであっても高濃度の場合には注意が必要とされています。
今のところ、一般的な化粧品においては高濃度で配合されることはほとんどありません。ですが、トコフェロールの配合濃度は年々高くなる傾向も見られます。
1999年には配合濃度2%が最高だったのに対し、2013年には5.4%まで高くなっているんです。
まだ多くの人にとっては安心な濃度ではあります。ですが、今後さらに配合濃度が高くなる可能性もゼロではありません。
もし、「トコフェロールが肌に合っていないかも?」と気になった場合には、メーカーに確認してみるのもいいかもしれませんね。