化粧品の天然由来成分はナチュラルじゃない

実はナチュラルじゃない!化粧品の天然由来成分

よさそうな天然由来成分100%

「天然由来成分100%」と書かれている化粧品を最近よく見かけます。100%でなくても、たくさん配合していることをアピールしている化粧品が人気を集めているようです。

100%という記載だけではなく、下のようなフレーズを見かけることも。

「天然由来成分だから肌にやさしい」
「天然由来成分だから赤ちゃんにも使える」

こんなキャッチコピーを見かけた時、皆さんはどう思いますか?「なんだかよさそう」と思う人も多いかもしれません。

でも、上記のようなキャッチコピーの根拠は一体なんでしょうか?この記事では、化粧品の「天然由来成分」のあまり語られない真実をお伝えしたいと思います。

天然由来成分はナチュラルかを検証

天然成分と天然由来成分

成分の由来で考えた時、化粧品成分には次のような3つの種類があります。

  • 天然成分
  • 天然由来成分
  • 合成成分

ここで気になるのは「天然成分」と「天然由来成分」。
似ているようでまったく異なるこの2つ。一体どんな違いがあるのでしょうか。

天然成分とは

自然界に存在するの動植物や鉱物などを原料として作ったもの。つまり化学的な加工を加えることなく、天然に存在している原料の分子構造のまま化粧品成分にされたものです。

自然に作られる構造を壊さないようにするため、製造方法もシンプル。

  • 蒸留
  • 溶媒による抽出
  • 水に溶かす
  • 圧搾

などの比較的単純な方法で作ることができます。代表的な成分は次のようなもの。

  • 精油(オレンジ果皮油、ラベンダー油など)
  • 低温で圧搾された植物油脂(ヒマワリ種子油、アボカド油など)
  • 植物エキス(チャ葉エキス、グレープフルーツ種子エキスなど)
  • 鉱物(酸化鉄酸化チタンなど)

何が原料なのかが成分名でわかりやすいのが特徴ですね。

天然由来成分は自然に存在するそのままの状態で加工したもの

天然由来成分とは

一方、天然由来成分は自然界に存在する原料を化学的に加工をしたもの。天然のものとはまったく異なる分子構造で、人工的に調整・改良された成分です。

一部に合成由来成分が使われたり、天然の原料に含まれる特定の物質だけを抽出してくっつけたり。そうした加工を施すことで、化粧品成分としての高い機能性や新しい効果が作り出されるのです

つまり、自然界に存在することがない人工的な成分ということ。
原料の一部に天然成分を使っているため、100%合成とは言えないかもしれません。でも、少なくとも合成成分の仲間と言えるのです。

気になる成分の名前

具体的にどんな成分が天然由来成分なのか気になりますよね。天然由来成分は数え切れないほど種類がたくさん。ですので、ごく一部の例だけを紹介します。

  • トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル
  • ラウリン酸ポリグリセリル
  • オレイン酸ポリグリセリル
  • PEG-60水添ヒマシ油
  • 安息香酸Na
  • コカミドDEA
  • ベヘントリモニウムクロリド

天然成分はわかりやすい成分名でした。しかし、天然由来成分はご覧のとおり。カタカナや難しい名前が並んでいます。

トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリルは、天然の油から特定の脂肪酸を抽出してグリセリンと結合させたもの。合成油とも言われます。

また、その下の「〜ポリグリセリル」という2つは、天然の油に含まれる脂肪酸を使った界面活性剤です。

こういった天然の脂肪酸を使った成分の中には、化粧品には嬉しい機能や使用感を実現しているものもあります。

4つ目の「PEG-40水添ヒマシ油」はPEGの仲間。その下の3つの成分には、それぞれリスクを指摘する調査やデータがあります。
「天然由来成分」と一言でいっても、肌や健康への影響は成分ごとに異なるというわけです。

気になる方は、ぜひそれぞれのブログも読んでみてください。

化粧品の安息香酸Naに発がん性はあるの?

シャンプーにも入ってるDEAに癌のリスク?

シャンプーに入っているベヘントリモニウムクロリドは安全?

 

まとめ

「天然由来だからやさしい」

最初に書いたこんなフレーズですが、この記事を読んでみて印象は変わりましたか?

すべての天然由来成分が悪い成分というわけでは決してありません。化学的な加工をすることで肌への刺激を抑えられることもあります。また、安定性や機能性が高くなるため、肌により効果的に働くことも。

一方で、天然由来だからと言って、どんな成分でも肌や健康にいいというわけでもありません。つまり、「天然の原料から作られている」というだけは肌にやさしいかは判断できないということなんですね。 

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