AHAとは
AHAとは、アルファヒドロキシ酸のこと。スキンケア製品に配合される植物や動物由来の酸のグループです。植物由来のものが多いことから「フルーツ酸」と呼ばれることもあります。
スキンケア製品でよく使用されるAHAは次の7種類。
- クエン酸(柑橘類由来)
- グリコール酸(サトウキビ由来)
- ヒドロキシカプロン酸(ローヤルゼリー由来)
- ヒドロキシカプリル酸(動物由来)
- 乳酸(乳糖などの炭水化物由来)
- リンゴ酸(果物由来)
- 酒石酸(ブドウ由来)
スキンケアにAHAを取り入れることによる効果やリスクについて、さまざまな研究報告があります。
この記事では、AHAをスキンケアに取り入れるメリットと使用前に知っておきたいことをまとめました。
AHAによるスキンケア効果
AHAは角質除去の目的で使用されることが多い成分。ですが、他にも次のような効果が期待されます。
1. ピーリング効果が高いAHA
AHAにもっとも期待される効果は、ピーリング効果。つまり、古くなった肌の角質を除去することです。古い角質を取り除くことで、新しい皮膚細胞の生成も促されます。
年齢を重ねると、自然な肌細胞のサイクルが遅くなります。そのため、古い角質が蓄積しやすい傾向が。古い角質が増えすぎることで、顔色がくすんで見えることもあります。また、古い角質が蓄積するとシワやシミ、ニキビの原因になる可能性も。
そのため、AHAを効果的に取り入れることで、エイジングケアやニキビケアが期待されます。
すべてのAHAに同じピーリング効果があるわけではありません。AHAの種類や配合する濃度によって、その効果は異なります。
2. 肌が明るくなる
AHAによって古い角質が取り除かれると、その下にあった新しい肌が現れます。くすみがちだった肌が明るくなったように感じるのはそのため。
AHAの中でもグリコール酸は蓄積した肌細胞を分解すると言われています。また、クエン酸はより明るい肌へと導いてくれる可能性があります。
3. AHAがコラーゲン生成を促進
コラーゲンは肌に存在する繊維。タンパク質が豊富なため、肌をふっくらとなめらかに保ちます。
しかし加齢とともに、コラーゲンの繊維は壊れやすくなります。加齢だけでなく、日焼けによるダメージもコラーゲンの減少を加速させます。その結果、たるみが目立ち、ハリのない肌になってしまうのです。
つまり、ハリのある弾ける肌にとってコラーゲンは必須ということ。そして、AHAはコラーゲンの産生もサポートします。
コラーゲンはがあるのは肌の中間層(真皮)。AHAは古くなった上の層(表皮)を取り除き、真皮に働きかけます。古いコラーゲン線維を分解して新しいコラーゲン線維を作ることで、コラーゲン産生を促すのです。
4. シワに働きかけるエイジングケア
AHAにはアンチエイジング効果もあると言われています。
52人を対象にしたシワの深さと肌のキメの調査では、AHAを3週間使用した10人のうち9人が、肌全体の質感の大幅な改善を実感したと報告されています。
ただ、AHAが効くのは表面のシワだけ。深く刻まれたシワには効果はほとんどないとされています。
5. 肌の変色を抑える
年齢を重ねるとシミや肝斑、炎症後の色素沈着など、肌が変色するリスクが高くなります。そして、変色してしまった肌が戻りにくくなるのも加齢肌の特徴。
そんな時に期待できるのが、AHAのターンオーバーを促進する効果。AHAを長期的に使用することで肌のターンオーバーが促され、肌の変色を最小限に抑えられる可能性があります。米国皮膚科学会によると、肌の変色にはグリコール酸が推奨されています。
6. AHAによるニキビ予防
AHAはニキビの治療や予防にも使われる成分。毛穴に古い角質や皮脂、バクテリアが詰まることで発生するニキビには、AHAによるピーリングが効果的な場合があるからです。
また、角質除去作用で肌のターンオーバーを促すグリコール酸や乳酸には、開いてしまった毛穴やニキビ跡を目立たなくする効果も期待されます。その他、ニキビによる炎症を鎮めるために、クエン酸やリンゴ酸など他のAHAを配合したニキビ用スキンケア製品もあります。
なお、これらのAHAは顔だけでなく、他にニキビができやすい背中や胸などにも使用することができます。
7. 他成分の浸透吸収を高める
肌に古い角質が蓄積すると、せっかくの保湿成分を顔に塗っても肌表面にとどまってしまいます。そうすると、その下にある新しい皮膚細胞が水分を与えられることはありません。
グリコール酸のようなAHAで肌表面の古い角質層を分解することで、保湿成分が新しい角質に届きやすくなります。
AHA濃度が高すぎると深刻な乾燥肌に
AHAによるピーリングには、さまざまな嬉しい効果が期待できそう。でも、このようなピーリング作用を期待するには、AHAが一定濃度以上に配合されている必要があります。
しかし、濃度が高すぎると角層のバリア機能に悪影響を及ぼす懸念が。皮膚のバリア機能が失われると、肌の水分が極端に失われ深刻な乾燥肌の原因となります。
そのため、EUではAHAを安全に使用できる濃度を次のように提示しています。
グリコール酸
最大4%配合まででpH値が3.8以上なら安全に使用できる
乳酸
最大2.5%配合まででpH値が5.0以上なら安全に使用できる
AHA配合の製品はどうしても肌刺激を感じる可能性が高くなります。嬉しい効果を期待するあまり、適切な量や回数を超えて使用することは絶対にしないようにしましょう。
AHA配合の製品を使うその他のリスク
初めてAHA配合の製品を使う場合、肌に次のような症状が生じることがあります。
- ほてり・赤み
- かゆみ
- 皮膚がはがれる
- 水疱
- 皮膚炎(湿疹)
これらの前兆を感じたら使用をやめるか、刺激を感じない程度に1日おきに使用するなどにとどめましょう。使用後しばらくすると、問題なく使えるようになる場合もあります。ですが、思わぬ肌トラブルを防ぐため、肌の様子を見ながら注意して使うことが大切です。
紫外線のダメージを受けやすくなる
AHA配合のスキンケアに取り組む際には、紫外線に特に注意する必要があります。ピーリングで薄くなった肌に紫外線を浴びると、やけどのような炎症を起こすなど肌が紫外線に対してとても敏感になるからです。
そのため、AHA配合の化粧品を使った後は、毎日日焼け止めを塗るなどして紫外線対策を必ずしましょう。また、汗などで日焼け止めが落ちてしまった時には、こまめに塗り直すことを忘れないように。
また、以下のような人はAHAの使用に問題がないか、必ず皮膚科医や医師に相談しましょう。
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