化粧品でレシチンが使われる理由とリスク

化粧品でレシチンが使われる理由とリスク

美容成分以外の気にすべき成分

ビタミンCやレチノールCICAなど話題の美容成分について調べる人は多いですよね。 

でも、話題にはなっていない美容成分も実はたくさんあります。

この記事で取り上げる「レシチン」もその一つ。様々な効果や機能を期待して配合されるのですが、ほとんどの人が気にしていないのでは?

ぜひこの記事で詳しく知ってくださいね。

卵に含まれるレシチン

レシチンはリン脂質と呼ばれるもののひとつ。細胞を包む膜を作る主な成分で、動物や植物のすべての細胞に存在しています。もちろん、人間の体内の組織に存在していて、特に脳や神経組織、肝臓に多く存在するそう。

レシチンは卵黄の大半を占める成分

植物では卵黄や大豆などの豆類に多く含まれています。卵黄の脂肪の大半がレシチンだということを知っている人も多いかもしれません。

レシチンは水と油をなじませる

水と油は本来混ざりません。でも、レシチンを使えば混ざります。水と油をなじませる性質があるからです。マヨネーズの酢と油が分離せずにキープできるのは、マヨネーズに使われる卵黄のレシチンの作用というわけなんですね。

水と油が混ざった状態でキープするという特徴は、化粧品でも活用されています。

というのも、化粧品は基本的に水性成分(水)と油性成分(油)で作られているから。水にも油にもなじむことができるレシチンを乳化剤として配合することで、均一に成分を混ぜ合わせたまま維持することができるのです。

天然由来で機能的

上述した通りレシチンは動植物に含まれる成分。天然由来の成分といえますので、ナチュラルコスメオーガニックコスメでもよく使われています。

そんなレシチンの化粧品成分としての役割は乳化だけではありません。下記のようなさまざまな効果も期待されています。

エモリエント効果

エモリエントとは肌表面の水分レベルを高めること。レシチンは肌の水分を引き寄せてうるおいをキープするため、肌を柔らかくするエモリエント剤として使われることがあります。
脂質を豊富に含むレシチンは肌表面に油性の層を作ります。それによって肌表面に水分を閉じ込め、乾燥を防ぐというわけです。

関連記事:乾燥肌へのエモリエント効果とは?

浸透促進

レシチンには他成分の浸透を促す作用があると言われています。肌に有効とされる成分をより深く運ぶことで、より高い保湿・美容効果などが見込めるとされています。

抗酸化作用

レシチンには抗酸化作用があることがわかっています。紫外線や外からの刺激などによる肌へのダメージを抑える効果がある可能性があります。
トコフェロールなどのビタミンEと一緒に使うことで、さらなる肌の修復効果が見込めるかもしれません。

質感をよくする

レシチンには使用感をよくする効果も

レシチンはクリームや乳液などにとろみをつけることも可能。クリーミーでのびがよく、なめらかな質感の化粧品に仕上げることができます。

水添レシチン

一般的にレシチン自体は酸化しやすい成分。また、熱で不安定になりやすいため、ほとんどの化粧品では水添レシチンが配合されています。

水添レシチンはレシチンに水素を添加したもの。水素を加えることで本来の機能や安定性が高まるんですね。EWGでは化粧品での使用は安全と考えられているようです。

レシチンを避けるべき人

レシチンも水添レシチンも、一般的には安全な化粧品成分とされています。
しかしEWGの評価やいくつかの論文を見ると、使用には注意したい人も。

大豆や卵アレルギーの人

さまざまな動植物に含まれているレシチンですが、化粧品で使用されるのはほとんどが大豆レシチンか卵黄レシチン。
そのため、大豆アレルギーや卵アレルギーがある場合には、念のため避けるのが安心。使用したい場合には事前にパッチテストを行うか皮膚科医に相談しましょう。

敏感肌の人

レシチンは成分の肌への浸透を促すと書きました。これは一見嬉しい効果に思いますが、浸透しすぎると肌には刺激になる場合があります。特に敏感肌の人や皮膚が薄い人は要注意。
マウスを使ったある研究ではレシチンの30%が皮下組織まで浸透したことが示されているからです。

経皮吸収について:化粧品成分の経皮吸収と浸透の違い

浸透を促すレシチンのリスク

下記のような成分がレシチンと一緒に配合された場合、皮膚の深くまで届いてしまい思わぬ危険が生じる可能性があります。

  • 「経皮吸収されないから安全」とされている成分
  • 経皮吸収された場合にリスクが指摘されている成分

どんな化粧品成分であっても、表皮や真皮を通過して皮下組織にまで到達することは想定されていません。「皮膚から吸収されないから」ということを根拠に安全とされている成分がレシチンの働きで皮下組織まで届いてしまったら…

どんな影響が出るか誰にもわからないのです。

発がん性物質を生成する可能性

もう一つ怖いのは副産物の生成。

レシチンは特定の物質と反応することでニトロソアミンを生成する可能性があります。ニトロソアミンは強い発がん性が疑われる物質。化粧品よりも厳しく管理されている医薬品でも検出されているんです。

ニトロソアミン混入のリスクを避けるには一緒に使う成分に配慮しないといけません。
化粧品成分の安全性を評価する世界的な機関であるCIRの報告書でも、ニトロソアミンを生成する可能性がある成分はレシチンと一緒に配合すべきではないと注意喚起しています。

 

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