日焼けより怖いかもしれない紫外線吸収剤
日焼けや紫外線による影響を防ぐための日焼け止め。夏だけではなく一年中塗る人も珍しくありませんよね。でも、日焼け止めによく入っている「メトキシケイヒ酸エチルヘキシル」が、どんな成分か知っていますか?
もしかすると日焼けするより怖いかも…
そんな紫外線吸収剤の最新情報を、海外の調査などに基づいて紹介します。
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メトキシケイヒ酸エチルヘキシルとは?
別名「オクチノキサート」とも呼ばれます。紫外線から肌を保護する成分で、特に日焼けとの関連性が高いUVBの影響を和らげます。
メトキシケイヒ酸エチルヘキシルは紫外線吸収剤のひとつ。
紫外線吸収剤とはその名前の通り、肌の表面で紫外線を吸収します。そしてそれを熱や赤外線など他のエネルギーに変換することで、紫外線が肌に与える影響を軽減してくれるんですね。
メトキシケイヒ酸エチルヘキシルは1950年代以降に化粧品で使われ始めました。その後、美白ブームの到来とともに日本でも急速に使用例が増加。今も主に日焼け止めの主成分として使われています。
が、他にもUV効果をうたう下記のような化粧品に配合されています。
- ファンデーション
- 化粧下地
- コンシーラー
- フェイスパウダー
- リップクリーム
- 保湿クリーム
- ヘアスプレー
- ヘアスタイリング剤
メトキシケイヒ酸エチルヘキシルの安全性
現在、日本を含む各国で、一定の濃度内であれば安全に使えるとされています。
しかし実際には、その安全性を示す研究は十分ではありません。少しずつ研究が進むにつれて、ちょっと気になるリスクも明らかになってきています。
皮膚から体内に吸収される
化粧品に配合されるメトキシケイヒ酸エチルヘキシルのサイズは直径5nm(ナノメートル)。もはや目では見えないぐらいの超微小サイズです。
ただでさえ皮膚から吸収される可能性がある成分なのに、皮膚細胞よりも小さなサイズに加工されているんです。そのため、経皮吸収のリスクが低いとは言えないかもしれません。
他の物質と組み合わせることで経皮吸収を防ぐ工夫がされていると言われてはいます。ですが、実際の経皮吸収率に関する研究はほとんどありません。
ホルモンかく乱作用
メトキシケイヒ酸エチルヘキシルは、EUや複数の研究で内分泌かく乱作用が指摘されています。つまり皮膚から吸収されたら、体内でホルモンを作り調節する内分泌系に影響するということ。
アメリカのFDAが2021年に行った安全性評価でもメトキシケイヒ酸エチルヘキシルは内分泌かく乱物質であり、他の14種類の紫外線防止剤とともに「安全性と効果に関する証拠が不十分な紫外線吸収剤」のひとつとされています。
アレルギー性皮膚炎
メトキシケイヒ酸エチルヘキシルは皮膚の表面で紫外線を吸収。そして熱に変換すると上述しました。
でも実は、その作用が敏感肌の人には負担が大きい場合が。また、アレルギー反応を引き起こす可能性もあります。
アレルギー反応が出た場合の症状に多いのは肌の赤み、腫れ、水疱、湿疹など。塗ってすぐではなく数日後に症状が現れることもあるようです。
なお、アレルギーと紫外線の影響が合わさると生じる光接触皮膚炎の可能性もあります。
環境への影響
日焼け止めがサンゴの白化の原因になることは広く知られてきました。サンゴの白化とはサンゴが白く変色し死んでしまうこと。そしてそのせいで、海の生態系に悪影響を与えてしまうのだとか。
サンゴの白化の原因は、日焼け止めに配合された紫外線吸収剤と言われています。そして、メトキシケイヒ酸エチルヘキシルもその原因となる成分のひとつ。
サンゴや海の環境を守るため、フロリダ州やハワイやパラオなどで紫外線吸収剤の使用を禁止する法令もできました。
サンゴだけでなく、世界中の様々な場所で魚の体内からも紫外線吸収剤が検出されているようですから、環境への影響は小さくなさそうです。
メトキシケイヒ酸エチルヘキシルを避けるには
香水やスキンケアなど、紫外線予防が目的でない化粧品では紫外線吸収剤は不要ですよね。
そういった化粧品にメトキシケイヒ酸エチルヘキシルが配合されていないか、まずはチェックしましょう。
次に日焼け止めやベースメイクなど、UV効果が欲しい化粧品は「ノンケミカル」「紫外線吸収剤不使用」のものを選んでみてください。
ノンケミカルの化粧品にはメトキシケイヒ酸エチルヘキシルなど紫外線吸収剤の代わりに、酸化チタンや酸化亜鉛といったミネラル系の紫外線防止剤が配合されているはずです。
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