今使っている化粧品にPVPという成分は入っていますか?
フェイスクリームやファンデーションなど様々な化粧品に使われるPVP。化粧品の機能性を高めるために使われることが多いとされています。
でも、一体どんな成分でどんな機能があるのか知らない人も多いかもしれません。
そこで、この記事ではPVPが何から作られるのか、そしてその安全性や機能性について解説。
世界的な化粧品成分の評価機関である米国CIRによる報告書をもとにした根拠ある情報です。ぜひ化粧品選びの参考にしてください。
PVPとは
PVPの正式な名前は「ポリビニルピロリドン」といいます。
化学的に合成された高分子化合物で、1940年代に初めて開発されました。もともとは医療用に開発されましたが、その後、化粧品や医薬品でも使われるようになったそうです。
PVPが化粧品に使われる理由
PVPは機能性が高いため化粧品で重宝されています。といっても、「化粧品の機能」ってなに?とイメージが湧きにくいかもしれませんね。
フィルム形成
例えば、ヘアスプレーやマスカラ、アイライナーなどは、塗ってすぐに落ちてしまうと意味がありません。ヘアスタイルやメイクをキープできるようにするのがPVPの役割と言えます。
粘着性の向上
PVPは他の成分と混ぜ合わせることで化粧品の粘着性を高めます。その結果、塗った時のなめらかさや使用感がよくなります。
成分を分散させる
他の化粧品成分を偏りなく混ぜ合わせることができます。
もし、化粧水やクリームの中で有効成分が沈澱してしまうと、濃度や効果にばらつきが出てしまいます。PVPを配合すれば成分を均一に分散し、その状態のままキープしやすくなるのです。
水分を逃さないようにする
PVPが肌表面に作るフィルムが水分の蒸発を防ぎます。それにより、肌に塗った後も潤いが保たれやすくなります。
参考記事:化粧品のポリアクリレート-13とは
PVPは安全?
PVPの安全性については、米国のCIR(Cosmetic Ingredient Review)が詳しく検証しています。CIRの報告書ではPVPをの安全性を客観的に評価。消費者が安心して使用できる成分かどうかが書かれています。
その報告書では、一般的な使用量であれば、PVPは肌への刺激性や毒性が非常に低いとされています。
動物実験や人間での試験において、アレルギー反応や有害な影響は確認されなかったそうです。その結果、現在多くの化粧品で使用されている濃度では安全に使用できると結論づけられています。
ただし、極端に高濃度のPVPが使用された場合は別。軽度の刺激が発生する可能性があるため、濃度の調整が重要としています。
肌への影響は?
PVPは一般的に肌に優しい安全な成分とされています。
しかし、肌の上に長時間残るフィルムを形成するため、敏感肌やアレルギー肌の人は肌に違和感を感じる場合があります。そんな時は、PVP配合の化粧品が肌に残らないように丁寧なクレンジングを心がけましょう。
PVPによる環境への影響
合成ポリマーであるPVPは、自然環境において生分解性が低いことが指摘されています。つまり、自然界の微生物によって分解されにくく、環境中に長く残る可能性があるということです。
また、PVPは水に溶けやすい合成ポリマー。そのため、お風呂や洗面台から排水された後、河川や海洋に流れ着いてしまう可能性も高いのです。
水中に長く留まることで水生生物に対して何らかの影響を及ぼす可能性もないとは言えません。
とはいえ現時点では、直接的に魚や水生生物に有害であるという明確な証拠も見つかっていません。
PVPに代わる地球にやさしい成分
通常、化粧品に含まれるPVPの量はごくわずか。ですから、「化粧品で海がそんなに汚れるはずがない」という人もいるでしょう。
でも、世界中の化粧品で使われていますから、地球規模での消費量とその蓄積量を考えると、環境への負担が全くないとは言い切れません。
実際にそうした環境への懸念から、PVPに代わる成分の研究も進んでいます。
例えば、生分解性ポリマーや天然由来の成分が注目されています。自然環境の中で分解されやすく自然に戻りやすいため、サステナブルな選択肢として期待されているんですね。
まとめ
PVPは数多くの化粧品で使われている成分。使用感や機能性を高める効果がある安全な成分とされています。
ただ、環境に対してはやさしいとは言い切れないところも。
「使いやすい化粧品が増えるほど地球が汚れる」
そんな状況が悪化しないように、できるだけ地球環境に配慮された化粧品を選んでみてもいいかもしれません。
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