化粧品の防腐剤
化粧品にはさまざまな防腐剤が使われています。
腐った化粧品は危険ですから、十分な防腐力をキープすることは大切。
でも、肌や健康にリスクがある種類もあるため、どんな防腐剤が使われているかを確認するのが安心です。
アメリカの安全性評価機関であるEWGのデータベースで、よく使われている化粧品防腐剤の危険度をチェックしてみましょう。
危険度は10段階
EWGでは専門家グループが化粧品成分の安全性を10段階で評価しています。
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あの防腐剤はどう?
日本の化粧品でよく見かける防腐剤は、どのように評価されているのでしょうか?
安全性が高い順に見てみましょう。
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安息香酸Na(危険度:1~2)
日本では配合濃度は1%までと決められています。世界的には安全性が高い防腐剤とされていて、オーガニック認証コスメでも使用が認められています。
ソルビン酸K(危険度:2)
日本では配合濃度は0.5%までと決められています。10%濃度でも目や肌への刺激はほとんどなかったという調査報告もあります。
フェノキシエタノール(危険度:2~4)
呼吸器系への懸念から、EWGではスプレーやパウダータイプの化粧品ではリスクが高くなるとしています。肌刺激リスクが高めとされています。
エチルパラベン(危険度:3)
内分泌かく乱作用の可能性はあるものの、パラベンの中では安全性が高い。わずかな量で防腐力を発揮できるため、肌刺激やアレルギーのリスクは高くありません。
メチルパラベン(危険度:3-4)
呼吸器系への懸念から、スプレーやパウダータイプの化粧品ではリスクは高くなります。内分泌かく乱作用の可能性はあるものの、パラベンの中では安全性が高め。
クロルフェネシン(危険度:4)
敏感肌や乾燥肌の人には皮膚炎や湿疹を引き起こしたり、防腐剤にアレルギーがある人には刺激性が高いという研究結果があります。EWG認証コスメでは配合不可です。
BHT(危険度:5)
強力な神経毒性があるトルエンを使って作られる成分。アレルギーと免疫系のリスクの懸念があるとされています。EWG認証コスメでは配合が認められていません。
ブチルカルバミン酸ヨウ化プロピニル(危険度:6)
アレルギー、肝臓毒性、生殖・発育への影響などが懸念されています。ニュージーランドではリップケア、オーラルケア、3歳未満の子供用化粧品で禁止されていますが、日本ではおしりふきに配合されていることも。
DMDMヒダントイン(危険度:6)
シックハウス症候群の原因でアレルギー物質として知られるホルムアルデヒドをじわじわと放出する成分。特に慢性的な皮膚炎がある女性はアレルギーリスクが高くなります。
ベンザルコニウムクロリド(危険度:6)
目・肌・呼吸器への刺激とアレルギーのリスクが深刻。皮膚感作性があるため、喘息や湿疹などの皮膚疾患を持つ人に対しては特に危険としています。シャンプーに配合されることが多いです。
BHA(危険度:7)
米国国家毒性プログラムで「ヒトに対する発がん性が予想される物質」に分類されています。また、EUの欧州委員会では内分泌かく乱物質の可能性が示されています。
プロピルパラベン(危険度:9)
皮膚から吸収され血液に紛れ込みます。体内では女性ホルモンである「エストロゲン」の動きを真似し、本来のホルモンバランスや機能を乱す可能性があります。
ブチルパラベン(危険度:9)
プロピルパラベン同様、皮膚から吸収されて血液に紛れ込み、「エストロゲン」の動きを真似することで、本来のホルモンバランスや機能を乱す可能性があります。
イソブチルパラベン(危険度:10)
皮膚から吸収されて血液に紛れ込み、「エストロゲン」の動きを真似することで、本来のホルモンバランスや機能を乱す可能性があります。
2004年の調査では、20人の乳がん患者のうち19人のがん腫瘍からイソブチルパラベンが検出されました。
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いかがでしたか?
日本では嫌われている成分の安全性が実は高かったり、危険度が高いことを知らなかった防腐剤もあったのではないでしょうか。
「こんな防腐剤知らない」と思っても、一度ぜひ全成分をチェックしてみてください。意外といろんなものに入っていたりします。
皆さまの化粧品選びの参考にしていただけると嬉しいです。
*ちなみに「クロルフェネシン」から下の防腐剤は、EWG認証の化粧品では配合不可とされています。個人的には、日本でもEWG認証の化粧品が増えることを願っています。
CONCIO
木本惠子