マイクロプラスチック成分に隠された4つのリスク

化粧品のマイクロプラスチック成分に隠れている4つのリスク

海外ではマイクロビーズ配合を禁止

多くの化粧品には生分解性がないマイクロプラスチック成分が配合されています。

環境保護などの観点から、EUをはじめカナダやニュージーランドではマイクロビーズといわれる固形のマイクロプラスチックに規制が。洗い流す化粧品へのマイクロビーズの配合を法律で禁止しているのです。

洗い流す化粧品とは、次のようなもの。

  • シャンプーやコンディショナー
  • ボディソープ
  • 石けん
  • 洗顔料
  • 歯磨き粉

しかし、スキンケア製品やメイクアップ製品など洗い流さない化粧品の多くには、今でもマイクロビーズが配合されています。

マイクロビーズとは、次のような成分。

  • ナイロン-12
  • ナイロン-6
  • ポリエチレン(PE)
  • ポリエチレンテレフタレート(PET)
  • ポリメタクリル酸メチル(PMMA)
  • ポリプロピレン(PP)
  • ポリスチレン(PS)
  • ポリウレタン(PU)
  • ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)

お使いの口紅やアイシャドウ、ファンデーションに入っているかもしれません。

ちなみに、日本ではマイクロビーズの配合を規制する法律はありません。洗い流さない化粧品への配合を自主規制するように、各メーカーに呼びかけるにとどまっています。

液体マイクロプラスチックもチェック

スイスに本拠地を置くCodeCheckやオランダの環境団体であるPlastic Soupによれば、化粧品にはマイクロビーズ以外にも生分解性に乏しい合成ポリマーがたくさん使われています。

マイクロビーズ以外のこれらの合成ポリマーは、固形ではなく液体や半液体。そのため、一般的なマイクロプラスチックの定義には該当しないとして、ほとんどの国で何の規制もされていません。

しかし、これらの合成ポリマーもマイクロビーズと同じく自然環境には脅威。他にもさまざまな懸念があります。そのため、欧米では「リキッド(液体)マイクロプラスチック」と呼ばれ、避けられ始めている動きも見られます。

たとえば、下記のような成分が液体マイクロプラスチックです。

  • (アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))クロスポリマー
  • アクリレートコポリマー
  • カルボマー
  • シクロヘキサシロキサン
  • シクロペンタシロキサン
  • ポリクオタニウム-7
  • ポリアクリル酸ナトリウム

化粧品に入っているマイクロプラスチックのリスク

どうしてマイクロプラスチックがダメなのか

一般的にマイクロプラスチックは、直径5mm以下の固形および不溶性の合成ポリマーとされています。また、マイクロプラスチックには一次的なものと二次的なものがあります。

一次マイクロプラスチックは、最初からマイクロサイズやナノサイズで製造されるもの。二次マイクロプラスチックは、ビニール袋やタイヤのように大きなサイズで製造されたものが紫外線などの影響で劣化し、微細なサイズまで分解したものです。

1. リサイクルできず、自然界に放出

化粧品で使われるマイクロビーズや合成ポリマーは一次マイクロプラスチック。最初からマイクロサイズやナノサイズで製造されています。

あまりに小さな粒子のため、下水処理場では完全にろ過することができません。また、たとえろ過できたとしても、下水汚泥を経由して畑や土壌にたどり着きます。

マイクロビーズや合成ポリマーは分解性が低いため、何十年も環境中に残留。

近年、マイクロプラスチック汚染は急速に広がり、今では空気中や雨からも検出されるようになりました。エベレストの山頂やマリアナ海溝の海底、南極大陸の雪からも見つかっている事実に驚く人も多いのではないでしょうか。

2. 人間が食べることになる

WWFとオーストラリアの大学の調査では、人間は1週間でクレジットカード1枚分(約5g)のマイクロプラスチックを無意識のうちに摂取しているとされています。

これまでにマイクロプラスチックは次のようなものから検出されています。

  • 魚や貝などの魚介類
  • はちみつ
  • 砂糖
  • ビール
  • ミネラルウォーター
  • 水道水
  • 野菜・果物

こういったさまざまな経路を介して、マイクロプラスチックは人間の体内へ侵入。血液に乗って体内をめぐります。

そうして、これまでに人間の肺や血液、脳や心臓、胎盤からもマイクロプラスチックが見つかっているのです。

3. 製造時に毒性が高い添加物を使用

合成ポリマーやマイクロビーズを含むすべてのプラスチック製品は、製造時にたくさんの添加物が使われています。それらの添加物によって、安定性が高く、強くて長持ちするプラスチックが作れるからです。

しかし、使われている添加物には安全性に疑念が残るものもあるとされています。また、それらの添加物には、下記のようなリスクが懸念されています。

  • 内分泌かく乱作用
  • ホルモン性がん(乳がん、前立腺がん、精巣がん)
  • 生殖障害(生殖器奇形、不妊症)
  • 代謝障害(糖尿病、肥満)
  • 喘息
  • 神経発達障害(学習障害、自閉症スペクトラム)

4. 他の環境汚染物質とくっつく

化粧品で使われている液体マイクロプラスチックなどが河川や海に流れ込むと、他の環境汚染物質を引き寄せます。そして、それらとくっついてエコシステムに入り込んでいくのです。

特にアクリレート系のポリマーは使用量が多いため、その影響が深刻になる前に更なる調査が必要とされています。

化粧品では、液体マイクロプラスチックの使用量はマイクロビーズの50倍とも言われています。しかし、それらが環境や人体に与える影響は解明されていないことが多く、不明瞭なことばかり。目に見えない成分が見えないリスクを広げているとも言えます。

選択は人それぞれ

過剰に心配する必要はないと考えるか、わからないからこそ避けるべきと考えるか。考え方は人それぞれ。
でも、マイクロプラスチックのリスク検証はこれから本格化します。少なくともそれまでは、不要なリスクを避けたいと考える人がいるのは自然なこと。そんな人は、まずは毎日使うスキンケアや化粧品から見直してみるのもおすすめです。

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