りんごから発見されたフルーツ酸
洗顔料やピーリング剤、毛穴への効果を謳う化粧品に「リンゴ酸」という成分が配合されていることがあります。
名前の通り、リンゴ酸は果物のりんごから発見された成分。1785年にりんごの果汁から初めて見つかったため、それにちなんで名付けられました。
りんご以外にもぶどうやバナナ、野菜などにも含まれています。化粧品の他、酸味料やpH調整剤として多くの食品でも使用されています。
化粧品成分としてのリンゴ酸
リンゴ酸という化粧品成分は聞き慣れないという人もいるかもしれません。でも、下記のような化粧品によく配合されています。
- ニキビ用スキンケア
- アンチエイジングの化粧品
- シャンプー
- ボディローション
- ネイルケア製品
リンゴ酸はアルファヒドロキシ酸(AHA)と呼ばれるフルーツ酸の一種。
AHAは、肌細胞がくっつくのを邪魔することで角質が剥がれ落ちるよう促します。つまりピーリング作用があるということ。それにより、くすんだ肌を明るくするブライトニングやニキビに効果があると言われるんですね。
リンゴ酸の肌への効果
具体的には、リンゴ酸には下記のような効果が期待できるとされています。
- 肌の保湿
- 古い角質の除去
- 肌をなめらかにする
- トーンアップ
- しわが薄くなる
肌が明るったり、キメが整ったり。シミやシワへの効果も期待されるため、アンチエイジングクリームに配合されることも多い成分です。
肌とストレスの関係
2014年に公開された考察では、慢性的にストレスを感じると肌の状態に影響を及ぼすとされました。強いストレスを感じると、湿疹やニキビ・老化の進行など、肌に悪い影響がある可能性が示されたのです。
もちろん肌荒れの改善には、根本的な原因となっているストレスを取り払うことが重要。でもそれが難しい時の対処法として、リンゴ酸を活用した肌ケアが有効な場合もあるかもしれません。
リンゴ酸でヒアルロン酸の保湿効果がアップ?
リンゴ酸はそれ自体が保湿成分というわけではありません。でも、肌の保湿をサポートする可能性があります。2020年のある研究では、リンゴ酸がヒアルロン酸の皮膚への浸透を向上させることが示唆されているのです。
ヒアルロン酸は肌の水分を保持する物質。浸透が促されることで肌の水分量が増え、蒸発することを防いでくれます。リンゴ酸を併用すれば、そういったヒアルロン酸の働きがより効果を発揮する可能性があるかもしれないということですね。
ターンオーバー改善によるアンチエンジング効果
リンゴ酸を含むフルーツ酸のAHAは、肌のターンオーバーを促します。つまり、肌細胞がより早く生まれ変わるということ。加齢によりターンオーバーの乱れがある場合、リンゴ酸を取り入れることで下記のような肌改善が見られることがあります。
- 小じわの減少
- 肌トーンの均一化
- 肌のキメが整う
- シミの減少
ここまで読むとリンゴ酸はかなり魅力的な成分ですよね。
ただ、ここで一つ注意したいことが。
それは、乾燥肌や敏感肌の人にとっては、リンゴ酸などのAHAは刺激が強すぎる場合があるということ。肌が赤くなったり刺激を感じることがあるため、注意が必要です。
リンゴ酸がコラーゲン生成
1998年の研究では高濃度のリンゴ酸が、新しいコラーゲンを形成すると示されています。
コラーゲンは、細胞を作ったり修復するのを助けるタンパク質。肌にハリと柔軟性を与え、たるみを防ぐのに重要な組織です。
しかし、コラーゲンの生成は加齢とともに遅くなります。このコラーゲンの減少が、加齢とともに肌の弾力やハリが失われる原因の一つ。リンゴ酸を取り入れることで、肌へのハリが期待できるのはこういった理由があるんですね。
ニキビ予防
リンゴ酸には肌に蓄積した古い角質を取り除く効果もあります。
古い角質や皮脂が毛穴に詰まると黒ずみができます。肌に存在する菌やダニのバランスが崩れてもニキビや吹き出物の原因になります。
リンゴ酸は、皮膚の表層の古い角質をつなぎとめている "接着剤 "を分解。すると古い角質がはがれ落ちます。古い角質が取り除かれることで、肌のくすみや毛穴づまりが解消されます。その結果、ニキビができにくくなったり肌のごわつきが気にならなくなるのです。
ただし、角質除去をやりすぎると肌の乾燥を招くことも。リンゴ酸配合の洗顔料やピーリングは毎日ではなく、週に2~3回にとどめるのがよさそうです。
スキンケアにリンゴ酸を取り入れる際の注意点
肌へのさまざまな効果が期待できそうなリンゴ酸。しかし、スキンケアに取り入れる場合には注意してほしいことが。
リンゴ酸は他のAHAに比べて肌への刺激は少ないとされています。とはいえ、下記のような症状が生じたケースも報告されています。
- 赤み
- かゆみ・チクチク感
- 腫れ・肌が熱くなるような感じ
また、紫外線の影響を肌に受けやすくなる可能性も否定できません。特に目の周りや高濃度で長期間使用した場合には、こうした副作用が起こりやすいとされています。
敏感肌・乾燥肌には特に注意
上述した通り、リンゴ酸には肌のターンオーバーを促す作用があります。しかし、敏感肌や乾燥肌の人はすでに肌のターンオーバーが正常よりも早くなっていることが。そこにリンゴ酸などのAHAを取り入れると過剰にターンオーバーが促されます。
健康な皮膚が形成される前にはがれ落ちるという悪循環に陥り、さらなる乾燥を招く可能性もあります。肌が弱いなと感じている人は使用には注意したほうがいいかおしれません。
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