香料にはさまざまな化学物質が含まれています。

化粧品の香料に隠されている肌によくないもの

香料に隠された成分

多くの化粧品の全成分表に書かれた「香料」の2文字。
実は、化粧品にはどんな香料を何種類入れてもOK。そして、何種類配合しても「香料」と書いておけばいいというルールがあります。

そのため、ほとんどの場合、香料の具体的な成分をラベルでは知ることができません。

香料に使われる化学物質の中には、アレルギーに関連している成分がたくさんあります。そのほかにも、がん、生殖毒性、発達毒性、過敏症などの深刻な健康問題にも関わりがあることがわかっています。

日本でも年々増えるアレルギー患者の数を鑑みると、規制の強化などで透明性を高める必要がありそうです。

香料とは何か?

香料とは、香水やコロンに独特の香りを与える化学物質の組み合わせとされています。石油由来と天然原料由来の成分があります。

香水などでは、香りをつける「芳香物質」以外に溶剤、安定剤、紫外線吸収剤、防腐剤、着色剤などが含まれています。

一方、化粧品に香料が配合される場合、香りを安定させる成分も含まれています。これらの成分は「香料」の表示に包括されています。

合成香料も天然香料もアレルギー性は同じ

健康面での心配

国際香粧品香料協会(IFRA)は、香料の成分として報告されている3,619の原料をリストアップしています(2023年8月時点)。
この3,619種類の中には、がん、生殖毒性、アレルギー、過敏症など、健康への影響との関連性を示すものもあります。

例えば、2016年に報告された研究では、香料による健康被害を対象者から自己申告制で評価されました。

アメリカ在住者を対象としたこの調査では、99.1%が週に1回は香り付きの製品に接触していました。中には、香りによる片頭痛や喘息、胃腸障害や心臓血管障害などの健康被害を報告した人もいます。

日本でも「香害」として、香料による健康被害が知られるようになってきました。世界中で同じような被害が出始めていることは、単なる偶然でもなさそうです。

香料にどんな化学物質が含まれるのか、知っている人は少ないかもしれませんね。

実は香料には、次に述べるような化学物質が含まれている可能性があります。中にはちょっと怖く思うような物質もあります。

香料に含まれる化学物質

  • アセトアルデヒド:国際がん研究機関と米国国家毒性プログラムの両方で、人間に対して発がん性がある可能性があると分類されています。
  • ベンゾフェノン:内分泌かく乱作用と臓器系毒性に関連しているとされています。
  • BHA(ブチルヒドロキシアニソール): 内分泌かく乱の可能性を示す研究があります。欧州委員会ではBHAの内分泌かく乱性の調査を優先するとしています。
  • BHT(ブチルヒドロキシトルエン): トルエンベースの防腐剤。肌にとって刺激になる可能性があります。
  • サリチル酸ベンジル:人間にとってアレルゲンとされています。EUでは全成分表示への記載が義務付けられています。
  • 安息香酸ベンジル:安息香酸ベンジルは皮膚や目を刺激する成分。EUでは記載義務があり、使用量に制限が設けられています。
  • ブチルフェニルメチルプロピオン: 「リリアール」とも呼ばれます。皮膚感作の可能性があります。EUと国際香粧品香料協会で使用が制限されています。
  • クロロメタン(塩化メチル): 発達毒性物質として、カリフォルニア州のプロポジション65に記載されています。
  • 精油天然由来であっても精油の中にはアレルゲンとなるものがあります。そして、そのアレルギー性は合成香料成分と同じ。国際香料機関では、柑橘系の精油や一部の植物由来の有機化学物質に制約を設けています。
  • オイゲニルメチルエーテル(メチルオイゲノール): 精油に含まれる天然由来の物質で、複数の内分泌系に影響を与えます。国際がん研究機関では、人間に対して発がん性物質の可能性があるとしています。
  • MEA、DEA、TEAなどのエタノールアミン: 特定の防腐剤と一緒に使用されると、ニトロソアミンを生成する可能性があります。ニトロソアミンは十数種類の化学物質の一種で、国際がん研究機関で発がん性の可能性がある物質とされています。
  • メタノール: カリフォルニア州のプロポジション65で発達毒性物質とされています。EUでは配合濃度に規制があります。
  • プロピルパラベン(パラオキシ安息香酸プロピル): デンマークでは、3歳までの子供が使用する化粧品でのプロピルパラベン配合を禁止しています。
  • スチレン: 経口摂取すると赤血球と肝臓に毒性を示します。
  • 合成ムスク(トナリド、ガラクソリド、ムスクケトン、ムスクキシレン):生物濃縮性が高い化学物質。母乳、体脂肪、新生児の臍帯血から検出されています。ホルモン系を乱す可能性があるという研究報告も。
  • 1,4-ジオキサン:化学物質の刺激性を和らげるための工程で発生する物質。国際がん研究機関では、人間に対して発がん性の可能性があるとされています。
  • エチルベンゼン: エチルベンゼンは揮発性の有機化合物。国際がん研究機関では、発がん性物質の可能性があると分類されています。
  • 酢酸ビニル: 国際がん研究機関では、発がん性物質の可能性があると分類されています。

望んでいない化学物質を避けるために

香料配合の製品を使うことで、自分では気づかないうちに多くの化学物質にさらされています。
もちろん、好きな香りによるリラックス効果があることも事実。
でも、香料に紛れた化学物質を肌に塗ることのリスクは思ったよりも高そうです。

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