化粧品に入っているPEGとPPGは安全?

化粧品に入っているPEGとPPGは安全?

ほとんどの化粧品に入っている成分

お気に入りのスキンケア製品に「PEG」や「PPG」という成分が入っていませんか?非常に多くの化粧品に使われているので「使っているほとんどの化粧品に入っている」なんていう人もいるかもしれません。

でも、これらの成分は一体何なのでしょうか?どうして入っていて、なぜこれほど人気なのでしょうか?

PEGとPPGは姉妹のような関係

PEGは「ポリエチレングリコール」の省略。そして、PPGは「ポリプロピレングリコール」を省略した名前です。どちらも石油由来の合成成分で、1860年代後半に初めて作られました。

現在、PEGとPPGは化粧品の乳化剤や界面活性剤として広く使用されています。
また、医薬品でも薬剤を体内の狙った部位に届けるためのDDS(ドラッグデリバリーシステム)としても使われています。たとえば、ワクチンや皮下注射などにも入っています。

参考記事:PEGの皮膚浸透性と副作用:敏感肌にもやさしい安全な化粧品の選び方

 

医療薬剤でも使われるPEG

化粧品成分として表示される時は、「PEG-10」などのようにPEGとPPGの後に数字が続きます。数字の大きさは分子のサイズを表しています。

また、PEGは次のような他の原料と組み合わせられることもよくあります。

そして、組み合わせられる原料によって下記の例のように成分名も変わります。

  • オリーブ油PEG-7エステルズ
  • PEG-10ジメチコンクロスポリマー
  • PEG-20アーモンド脂肪酸グリセリル
  • PEG/PPG/ポリブチレングリコール-8/5/3グリセリン
  • PEG/PPG-4/12ジメチコン

さまざまな原料と組み合わせられることで、独特の性質を作ることができるのです。そして組み合わせ次第で配合目的や役割も多岐にわたります。

例えば、下記のような目的で配合されます。

  • 増粘剤
  • 安定剤
  • 浸透促進剤
  • 乳化剤
  • 界面活性剤
  • 皮膚コンディショニング剤
  • 保湿剤

つまり、化粧品に粘り気を出したり、他の成分の浸透をよくする役割があるのです。また、油性成分と水性成分を混ぜたり、混ざった状態で安定させることも得意です。

決して美容効果があるわけではありません。しかし、安価に便利な機能を持たせることができるため、PEGとPPGは化粧品で人気成分となっているのですね。

美容効果はないが便利なPEGとPPG

PEGとPPGは安全?

PEGとPPGの安全性または毒性について、はっきりとした答えはありません。

というのも、PEG自体は人体に対して不活性で毒性はないとされているのです。そのため、一般的にあらゆる用途で安全と考えられています。
世界的にも、多くの機関でPEGとPPGは安全と認められる成分に分類されていて、だからこそ医薬品でも使用されています。

しかし、PEGとPPGの安全性を疑問視する声があることも事実。
その理由は、これらの製造過程にあります。実はこれらの成分が作られる時に、1,4-ジオキサンという有毒な物質が発生するのです。

さらに、PEGとPPGの元になっている原料(出発原料)は酸化エチレン(エチレンオキシド)。この酸化エチレンは人体への毒性が高く、発がん性があることが知られています。

安全性を優先するメーカーは、こういった不純物が検出されないPEGやPPGを使用しているでしょう。しかし、企業がどのような原料を使っているかを確実に知る方法は、消費者にはほとんどありません。

環境への影響

PEGとPPGは人体だけでなく、排水後の環境への影響を指摘されることもあります。生分解性が低い可能性があり、水中に蓄積するかもしれないからです。

基礎化粧品にせよ、メイクアップ製品やシャンプーにせよ、ほとんどすべての化粧品は最終的に排水されます。自然界で分解されない場合、川や海、水路や湖にPEGやPPGが毎日蓄積されていくことになるのです。

PEGやPPGは化粧品に粘り気を出すために配合されているとお伝えしました。将来、海や川の水に粘り気があったら。
そう考えると、何を排水しているのかを気にしてみようかな?という気持ちになりますね。

PEGへの過敏症が増加傾向の可能性

PEGへのアレルギー反応

最近の研究では、まれにPEGに対してアレルギーを起こす人がいることが示されています。これは、化粧品や医薬品に含まれるPEGを長期的に継続的な使用することによる影響。数は多くありませんが、PEGに対する過敏症が徐々に発症している可能性を示しています。

PEGとPPGを避けるには

これらの成分を避けたい場合は、まずは全成分表をしっかり確認しましょう。

PEGやPPGといった成分名があれば当然避けるべきですが、それ以外にも避けるべき成分があります。
たとえば「セテアレス」や「ラウレス」という成分。これらはPEGの仲間ですが、成分名がまったく異なります。知らなければPEGの仲間であることはわかりませんね。

また、これらの成分は合成成分のため、オーガニック認証を取得した化粧品では基本的に使われていません。避けたい人は、オーガニックコスメや「PEG不使用」または「合成ポリマー不使用」と明記された化粧品を選ぶのがいいでしょう。

まとめ

今回の記事で書いたような事実を知った上で、PEGとPPGは避けたほうがいいのでしょうか?

答えは、人それぞれの考え方次第と言わざるを得ません。これらの成分にも長所はあります。そして当然、予想できないリスクもあります。それらを総合的に検討して避けるべきかどうかを、あなた自身が判断するのが一番です。

PEGとPPGの長所

人体に対してはほとんど無毒。数えきれないほどの製品に含まれていて使用実績が多い。安全性を説く専門家も多数いる。

PEGとPPGのリスク

発がん性物質が混入・残留している可能性がある。生分解性が低い可能性がある。他の原料と組み合わせられた際の安全性データや研究が十分ではない。

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